はじめに
「沖縄文化食堂」のマスターブランドから、あたらしい専門業態として、沖縄そば食堂『さくら』を開業いたしました。
『さくら』は、沖縄県民の心とともに歩んできた沖縄そばを、現代の食卓と感性に寄り添うかたちで伝えていく食堂です。沖縄の文化を「汁物」から掘り下げてきた「かなえ」に続き、今回はもう一つの代表格である“麺”の文化に光を当てます。

店名の由来:「さくら」に託したもの
「さくら」という名前には、ある沖縄そば屋への静かな敬意が込められています。今はもう暖簾を下ろしたそのお店は、多くのそば屋に影響を与えた存在でした。私たちにとっても、その味と空気感がどこか心に残るものであり、そんな記憶をそっと次の世代へつなぐような気持ちで、この名を選びました。
また、「さくら」という言葉には、日本を象徴する花としての“桜”の意味も込めています。春に咲き、静かに人々の心を打つ桜のように、沖縄そばという“県民食”を全国の方々にも親しんでいただける存在にしたいという願いをこめています。
さらに、『さくら』の開業はちょうど春。新たな出会いや始まりを祝うこの季節にふさわしく、“記憶と再生の象徴”としてのさくらという名を選びました。

メニューコンセプト:沖縄そばを、もっと自由に、もっと深く
「さくら」では、沖縄そばの“守るべき味”と“広がる可能性”の両立を大切にしています。
● 郷土の定番を味わう 沖縄そばの王道である「本ソーキそば」や「三枚肉そば」、「軟骨ソーキそば」などは、じっくり煮込まれた豚肉と、鰹×豚骨の重層的な出汁、そしてもっちりとした熟成麺のバランスが際立つ一杯です。
● 文化と創意のかけ合わせ 「ゆし豆腐そば」や「中味そば」、「イカ墨そば」などは、汁物や郷土料理との融合から生まれた“沖縄ならでは”の個性派そば。それぞれに込められた文化的背景や栄養価、食の知恵が感じられます。
● 組み合わせを楽しむ、自由な一杯 「さくら」では、もとぶ熟成麺・与那原麺・亀浜麺など、複数の地域麺を選べるのも特徴です。さらにスープやトッピングも自由にアレンジできる「お好みアレンジそば」では、自分だけの“マイ沖縄そば”をお楽しみいただけます。
これは、変化を柔軟に受け入れながら進化してきた沖縄文化の本質そのもの。固定された形にとらわれず、素材・季節・身体に合わせて変化するそば文化の魅力を、今の暮らしに合わせて表現しています。

おわりに
沖縄そばは、ただの郷土料理ではありません。
それは、家庭の味であり、祝いの場であり、生活に根ざした文化そのものです。
私たちは「沖縄文化食堂」の名のもとに、汁物の「かなえ」、そばの「さくら」という2つの専門業態を通じて、沖縄の食と暮らしの価値を丁寧に届けていきます。
桜のように静かに、でも確かに。
『さくら』が、あなたの暮らしの中にそっと根づいていけますように。
